以前のブログで、ポストエディターの仕事について紹介させていただいたのですが、今回は実際にやってみて、続けてみてぶっちゃけどう感じたか、ということについてお話したいと思います。
みなさん、翻訳ポストエディターという職業をご存じでしょうか? 簡単に言うと機械翻訳の不自然な点やミスをチェックして修正し、 人間の手で訳したのと同じような自然な翻訳文を作る仕事です。 機械翻訳のクオリティが高まってきたのと[…]
結論から言うと、私はポストエディットの仕事をやめました。
それには、そもそもの仕事内容だったり、個人的な事情だったりろいろいろな理由があります。
ポストエディットの仕事が悪いしんどいブラックというわけではなく、私自身の目指している方向に合わなかったというところも大きいと思っています。
今回のブログでは、なぜ私がポストエディットの仕事を辞めたのかについて、一つずつ理由を説明していきたいと思います。
ポストエディットを辞めた理由➀英語の勉強にならないと感じた
そもそも私はこのブログで紹介しているように、元々英語の学習が好きで、留学経験こそありませんが一生懸命ずっと英語を勉強してきたので、英語を使った仕事に就きたいと思っていました。
ラッキーなことにトライアルに受かってポストエディットの仕事をさせていただけるようにはなったのですが
それが私のゴールだったわけではなく、ポストエディットの仕事をしながら、稼ぎながら英語を勉強することで、次のキャリアに繋げていけたらなという思いがありました。
ただ、ポストエディットの仕事というのは、私が想像していたものとは少し違って、かなり校正の要素が強いお仕事でした。
以前紹介した通り、ポストエディットの仕事はまず機械で翻訳されたものを、人間の目でもう一度全体を通してチェックし、語句が統一されてない部分であったり、文脈的におかしい翻訳を見つけて修正するというお仕事です。
英語のライティングや文法の精度を高める訓練になるかなと思って最初を始めていたのですが、
実際やってみると、業者ごとに沢山のルールがあり、自分の裁量が非常に少ないと感じました。
その一つは、機械翻訳されたものを必要以上に自分のニュアンスを加えて翻訳し直してはいけないというもです。
明らかに文法的におかしいであったり、語句が統一されていないところは、もちろん修正して大丈夫ですが、
それ以外の部分で、自分だったらこういうふうに変えた方がいいんじゃないか、というような翻訳の要素はできるだけ排除をする必要がありました。
なので、自分で一から、日本語→英語または日本語→英語に言葉を訳すという作業はあまりなくて、
どちらかというと、本当に機械的に、語句が統一されていないところを、何度も何度も読み返して見つけたり、
使われている語句がその業界で使われている専門用語として正しいかどうかというのを、ひたすっら照らし合わせてそれを修正するような作業がほとんどでした。
ポストエディットとの仕事は翻訳案件のほぼ最終段階にあるので、(もちろんそのあとに、校正をしてくれる方はいるのですが)何度も何度も間違いがないように、確認する必要がありました。
自分が元から翻訳したものではないので、間違いを見つけたりそれを修正するという作業もかなり時間がかかりました。
なので自分で考えて翻訳するっていうような要素は大体一~二割ぐらいで、
残りは矛盾点を見つけたり、そもそも間違っていることを修正するというような作業にほとんどの時間を当てる必要がありました。
私はあまり細かい作業がそもそも得意ではないので、その修正作業にかなりのエネルギーを費やしてしまうことになり、英語を勉強している、何か新しいスキルを身につけているというような感覚があまり得られませんでした。
ポストエディットを辞めた理由②単価が割に合わない
二つ目の理由としては、やっぱり単価が安いです。
翻訳に比べてポストイット単価が安いのは承知していたことですが、実際作業にかかる時間などを鑑みると、
正直、その単価では割に合わないなと感じることが多かったです。
何度も何度も色々な観点からチェックをかけて、その後紙に印刷してダブルチェックするという作業が必要で、おそらく翻訳の方がかける時間と同じぐらいの時間をかけていたと思います。
なのでシンプルに、いただく単価が割に合わないなと感じてしまいました。
ポストエディットを辞めた理由③将来性があまりないと感じた
三つ目の理由は、将来性が心配だったからという点です。
ポストエディットを始めたときは、将来はこのまま翻訳家にそこでスキルを積んで翻訳家にステップアップしたいなと考えていたのですが、
実際、AIの翻訳がどんどん質が向上しているのを目の当たりにして、今はまだポストエディットであったり翻訳の仕事が重宝されていても、
今後数年も経たないうちに、ものすごい精度の機械翻訳が開発されるのはほぼ確実で、
そうなると本当に才能のあるかなり優れた翻訳家の方でないと、翻訳を生業にして生きていくことは難しいだろうなと思い、この分野ででスキルを積むことはやめようと考えました。
翻訳よりもよりライブのコミュニケーションが求められる通訳のようなお仕事の方がまだ需要が続きそうなので、そちらの方にキャリアをチェンジしていきたいなと思っています。
ポストエディットを辞めた理由④体への負担が大きい
最後にこれは、正直個人的な内容なのですが、体への負担がとても大きかったというところがあります。
私は元から長年のデスクワークによる肩こりに悩まされていたんですが、ポストイットの仕事をするようになってからそれがさらにひどくなり、慢性的な頭痛やめまいに悩まされるようになりました。
ポストエディットの仕事は、短い納期で集中して細かい作業をすることが求められます。
1日数時間であればできないことはないのですが、これを専業にしてやっていくのはとても体がもたないなと感じました。
これは本当に人によると思うのですが、もしまだ二、三十代で既に肩こりや頭痛などで悩んでいる方がいたら、ポストエディットの仕事は健康的なお仕事とは言えないと思います。
ですがこれは完全に個人差があると思いますので、自分の体調との兼ね合いが全てだと思います。
さいごに
以上、私がポストエディットの仕事を辞めた理由について、紹介してきました。
翻訳家になる前のステップアップとして考えられることも多いポストエディットの仕事ですが、実際にやってみると、なかなかイメージする内容と違う部分もあると感じました。
繰り返しになりますが、ポストエディットの仕事がひどい仕事だ、という訳ではなく、向いている方には向いている仕事だと思います。ただ、私には合わなかったというだけです。
これからポストエディットの仕事を始めようと思っている、興味があるという方がいらっしゃったら、ぜひ私の意見を参考にしていただければと思います。
みなさん、翻訳ポストエディターという職業をご存じでしょうか? 簡単に言うと機械翻訳の不自然な点やミスをチェックして修正し、 人間の手で訳したのと同じような自然な翻訳文を作る仕事です。 機械翻訳のクオリティが高まってきたのと[…]
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