みなさん、翻訳ポストエディターという職業をご存じでしょうか?
簡単に言うと機械翻訳の不自然な点やミスをチェックして修正し、
人間の手で訳したのと同じような自然な翻訳文を作る仕事です。
機械翻訳のクオリティが高まってきたのと同時に、今非常に需要が高まっている新しい職種の一つです。
翻訳ポストエディターは翻訳家ほどの高いレベルは求められないため、英語を使って在宅の仕事を始めたいと考える人にもとてもおすすめの仕事です。
実は私も最近トライアルに合格し、在宅でポストエディットの仕事を始めました。
この記事では、ポストエディターの仕事に興味がある方向けに、ポストエディターの仕事内容やなり方、気になる報酬などについて紹介していきたいと思います。
そもそも、ポストエディターって?
翻訳家はわかるけど、ポストエディターという仕事にピンと来ない方もいるかもしれません。
ポストエディターの仕事は、簡単にいうと
「機械が翻訳した文章のミスや誤訳を修正する」ことです。
AIが年々進化しているのと同じで、機械翻訳の精度も日々かなり上がってきています。
いままで定番だったGoogle翻訳などの精度はまだまだですが、AIをベースにしたDeepL翻訳などは、意味が通じる自然な翻訳という点においてはかなり高いレベルまで到達しています。
ですが、やはりまだまだ(プロの)人間が行う翻訳に比べて劣る部分が多々あります。
そういった機械翻訳の足りない部分をカバーするのが、ポストエディターの仕事です。
ポストエディターの需要ってあるの?
今後どの程度AIによる翻訳技術が進むかは未知数ですが、
私はポストエディターの仕事はあと数十年は少なくとも、大量に必要になるのではないかと思います。
理由としては、機械翻訳に以下のような弱点があるからです。
・文脈や背景を読み解くのが苦手
・日本語のように主語を省略しがちな言語だと、主語を特定できないことがある
・日本語にそもそもミスがあると、正しく翻訳されない、
などなど。
また、機械翻訳は、人間の翻訳者に比べて圧倒的にスピードで勝ります。
そのため、翻訳会社も、今まで通り翻訳者さんに依頼することもあれば、機械翻訳とポストエディットで処理を行うことも増えているようです。
では翻訳者さんがポストエディターに転身するのかというとそうでもなく、
翻訳者さんの多くは、機械翻訳、またそれに付随するポストエディットの仕事を嫌う方も多いようです。
理由は、ポストエディットの仕事をずっとやっていると、自分の翻訳力が落ちてしまうからだそうです。
ですが、結局は翻訳も商売であるため、機械翻訳と組み合わせて、翻訳者より安い金額で雇えるポストエディターの
需要がますます増えるのではないかと思っています。
ポストエディターになるには?
ポストエディターになるには、会社に勤めるか、フリーランスになるかの2種類の方法があります。
今のところ、フリーランスでの求人が多いと感じています。
私が応募したのは、ある翻訳会社さんが募集していた案件で未経験応募可の案件でした。
トライアルに合格できたら、最初の1か月はトレーニング期間でポストエディットのやり方を教えてくれるというものだったので、安心して応募できました。
「ポストエディター 求人」で探してみると、各翻訳会社さんの求人にヒットします。
また、翻訳ネットワークの「アメリア」でも最近ポストエディターの求人を多く見るようになりました。
TOEICのスコアでいうと、だいたい800点以上が求められるようです。
トライアルってどんな問題が出るの?
私が受けた翻訳会社さんのトライアルは、テストのような形式で
英訳・和訳のもっとも適切な訳文を4択から選ぶもの、5分程度の短い和訳・英訳を行うもの、
機械が翻訳した文章のミスを指摘して修正するものなど、全部でWord3枚程度の内容でした。
以前翻訳者のトライアルも受けたことがありますが、それに比べたらだいぶ易しい内容でした。
また、応募条件もTOEIC800点~と、少し低めの設定だったので翻訳者ほどのレベルは求めていないんだな、という印象です。
ですが、実際は機械の翻訳のミスや不自然なところに気が付いて修正するだけの技術が必要なので、すごく簡単な仕事かというと、そうではないと感じています。
気になる報酬は?
ポストエディターの仕事も、翻訳者と同じで
1word、または1文字あたりの単価が決まっています。
会社によってかなりばらつきがあるようなのですが、
英日だと2.5~6円/1ワード
日英だと3円~4円/文字
ぐらいが相場のようです。
ただし、原文が2000文字の文章だったら、単価×2000文字分の報酬になるかというとそうではなく、
機械翻訳のマッチ度(修正するべき点の多さ)によって、翻訳会社独自の計算方法で文字数が決定される場合が多いようです。
なので、原文が2000文字の文章を処理したとしても、修正するべきところが少ない場合は、実際の報酬は1000文字分、となる場合もあります。
これは、翻訳会社さんからオファーされる際に、「今回はマッチ率が〇%なので、〇〇文字分となります。」という風に、あらかじめ知らされています。
ポストエディターの報酬は、純粋な翻訳業務と比べるとかなり少ないため、翻訳者さんの多くは、このポストエディットという仕事を敬遠する方も多いようです。
ポストエディターになるメリットとデメリット
メリット
前述したとおり、ポストエディターに求められる能力は、翻訳者に比べて少し低いです。
そのため、翻訳者を目指しているけれどまだ能力が少し足りない・・
といった方の最初のステップとして始めやすいのではないかと思います。
また、機械翻訳が普及してきたことでポストエディターの求人が今とても多くなってきており、
今後も需要はますます増えていくことが予想されるため、単価はともかく、仕事には困らないのではないかと予想されます。
デメリット
単価が安いというのも一つのデメリットですが、
翻訳者さんの多くがポストエディットの仕事を嫌う理由が、単価が安いだけではなく、ポストエディットをしていると翻訳の能力が落ちてしまう、と感じるからだそうです。
これについては、私も同意する部分があります。
ポストエディットは基本的に自分で一から翻訳をすることはほとんどなく、機械が翻訳した内容に手を加えるのが主な仕事のため、一から文章を翻訳する能力は、確かに鍛えられないと感じます。
ただ、文法のミスを指摘したり、適切な表現を調べて修正したりするなどの作業も多くあるので、まったく翻訳の勉強にならないかというとそうではなく、ためになることも多くあると感じます。
最後に
以上、ポストエディターという仕事について紹介してきたのですが、
まだ私も仕事をはじめたばかりで、まだまだ未知のところが多いです。
ですがせっかくチャンスをいただいたので、キャリアの一つになるようにまずは精一杯頑張っていきたいと思います。
仕事を続けてみた感想や収入など、またあらためてブログで紹介できればと思っています。
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